男性タレント専門プロダクションの嚆矢、ジャニーズ事務所にはアイドル・グループがいくつもあるが、基本的には上の世代が下の面倒を見る、「義兄弟」的関係というか、徒弟制度というか、タテ割り社会的なものが存在してきたように思う。
初代ジャニーズにはじまり、フォーリーブスたのきんトリオ(といっても、若い世代には誰のことかわかるかな?)、しぶガキ隊、少年隊、光GENJI、SMAPTOKIO、そしてV6。
これらのグループのメンバーたちはいずれもジュニアと呼ばれる予備軍に入り、先輩のバックで踊ったり演奏したりすることから始めて、次第に自分たちも名を売っていき、独立するという道をたどってきた。
私生活でも、体育会系の合宿生活に近いようなパターンで、公私ともにほぼベッタリの付き合いだった。
だが、最近のジャニ系グループを見ていると、そういう体育会系ノリもかなり変わってきたんじゃないかなと思われるフシがある。
そのハシリはやはり、吾郎ちゃんだろうね。
彼はSMAPというグループが音楽とともにスポーツをウリとしているにもかかわらず、団体スポーツにはほとんど興味を示さず、どちらかといえば文科系クラブのノリで単体行動を好むひとだ。
たとえば、オフの日に他のメンバーとつるむことは、ほとんどないという。
ここに前の世代との大きな違いを感じるね。
さらにその傾向が顕著なのは「嵐」だと思う。
今でこそ、そんなことはないだろうが、デビュー当時はメンバーそれぞれの「なんでこの連中と組まされたんだろう」という思惑が見え見えの、「事務所の意向により寄せ集められたグループ」に過ぎなかった。
結成当初は当然、休みの日に一緒に遊びに行くなんてこともまずなく、おたがいに電話やメールで連絡をとることもまれ。
仕事場で顔を合わせて、初めて同じグループであると意識するわけで、まさに会社員的感覚のグループだったのだ。
今ではさすがに、少しは仲間意識が芽生えてきたようだが、比較的同世代の人間がかたまっていることもあって、たとえば誰かが強力なリーダーシップをとっていくこともまずなく、どんぐりの背比べ状態である。
他の世代、すなわち先輩グループに積極的になついていくのでもなく、後輩グループの面倒をすすんでみるでもなく、なんだか自分たちだけで自己完結している印象がある。
ここに、異世代とのコミュニケーションが不得意な、いまどきの若者たちの典型を見るような気がするねえ。
これも時代の流れであり、いたしかたないことなのだろうが、上の世代のグループから見れば、理解しにくい存在だろうと思う。